ご葬儀後、故人を偲び、お心遣いをいただいた方々へ感謝の気持ちを伝える香典返し。近年、多様な品物から相手に好きなものを選んでもらえるカタログギフトが、その便利さから選ばれることが増えています。しかし、弔事の贈り物である香典返しにおいて、カタログギフトは本当に失礼にあたらないのでしょうか?
この記事では、香典返しにカタログギフトを選んでも良いのか、失礼にならないための選び方、金額相場、そして知っておくべきマナーについて詳しく解説します。故人の供養となる、感謝の気持ちがしっかりと伝わる香典返しを選びましょう。
香典返しにカタログギフトは失礼?
結論から申し上げますと、適切なカタログギフトを選び、正しいマナーを守れば、香典返しにカタログギフトを利用することは失礼にあたりません。
以前は「消え物」が良いとされ、後に残らない食品や消耗品が選ばれる傾向にありましたが、現代ではライフスタイルの変化や多様な価値観から、相手に本当に喜んでもらえるものを選ぶという考え方が浸透してきました。カタログギフトは、受け取った方が自分の好みに合わせて自由に品物を選べるため、かえって喜ばれることも多いでしょう。
ただし、注意すべき点もあります。格式を重んじる方や年配の方の中には、カタログギフトを「手抜き」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。そのため、相手との関係性や故人の遺志などを考慮して判断することが大切です。
香典返しにカタログギフトを選ぶメリット・デメリット
カタログギフトを香典返しに選ぶ際には、メリットとデメリットを理解しておきましょう。
- 相手の好みが分からなくても喜ばれる可能性が高い: 多様な商品が掲載されているため、受け取った方が欲しいものを選べます。
- 贈る側の手間が少ない: 品物選びや包装の手間が省けます。
- 持ち運びが便利: 直接お渡しする場合でも、かさばりません。
- 金額ごとに選びやすい: 香典の金額に合わせて、適切な価格帯のカタログギフトを選べます。
- 人によっては「手抜き」と感じる可能性がある: 特に年配の方や格式を重んじる方はそう感じるかもしれません。
- 品物を選ぶ楽しみがないと感じる人もいる: 自分で選ぶ手間を負担に感じる方もいます。
- 有効期限がある: 受け取った方が期限内に申し込む必要があります。
- 価格が分かりやすい: カタログギフトの価格帯が相手に伝わりやすいです。
失礼にならないカタログギフトの選び方
香典返しにカタログギフトを選ぶ際に、失礼にならないためのポイントを解説します。
香典返しの金額は、一般的に**「半返し」**が基本とされています。いただいた香典の半額から3分の1程度の金額を目安にしましょう。
- 1万円の香典の場合: 3,000円~5,000円程度のカタログギフト
- 5千円の香典の場合: 1,500円~2,500円程度のカタログギフト
ただし、高額な香典をいただいた場合や、故人と特に親しかった方への返礼には、必ずしも半返しにこだわる必要はありません。感謝の気持ちが伝わる品物を選びましょう。
掲載されている商品の内容も重要です。以下のような点に注意して選びましょう。
- 幅広い価格帯の商品が掲載されているか: 受け取った方が選びやすいように、様々な価格帯の商品が掲載されているカタログギフトを選びましょう。
- 多様なジャンルの商品が掲載されているか: 食品、日用品、雑貨、体験ギフトなど、幅広いジャンルの商品が掲載されていると、多くの方に喜ばれます。
- 品質の良い商品が掲載されているか: 安価な商品ばかりではなく、ある程度品質の良い商品が掲載されているかを確認しましょう。
- 年配の方向けの商品も充実しているか: 年配の方に喜ばれる和風の商品や、落ち着いたデザインの商品が掲載されていると安心です。
- 受け取った方の家族構成を考慮する: 一人暮らしの方には、少量で使い切れる食品や日用品、家族が多い方には、家族みんなで楽しめるグルメや体験ギフトなどがおすすめです。
香典返しは弔事の贈り物です。お祝い事とは異なるため、包装や体裁にも注意が必要です。
- 掛け紙(のし紙): 水引は黒白または双銀の結び切りを選びます。表書きは**「志」または「満中陰志」(仏式の場合)、「偲び草」(神式の場合)、「粗餐」(キリスト教式の場合)**など、宗教・宗派に合わせて選びましょう。
- 名入れ: 喪主の氏名、または「〇〇家」と記載するのが一般的です。
- 包装紙: 落ち着いた色合いのものを選びましょう。派手な色や柄物は避けます。
- 挨拶状: 香典返しには、感謝の気持ちを伝える挨拶状を添えるのがマナーです。句読点を使わない、薄墨で書くなどの慣習もありますが、現代ではそこまで厳格ではありません。故人の名前や戒名、生前の感謝、今後の生活についてなどを簡潔に述べましょう。
香典返しを渡す時期は、忌明け後1ヶ月以内が目安です。仏式の場合は四十九日、神式の場合は五十日祭、キリスト教式の場合は昇天記念日の頃に贈るのが一般的です。遅れてしまう場合は、お詫びの言葉を添えて渡しましょう。
可能であれば、直接お渡しするのが丁寧ですが、遠方の方や都合がつかない場合は配送でも問題ありません。配送の場合は、挨拶状を添えて送るようにしましょう。
香典返しのマナー
カタログギフトを選ぶ際の注意点に加えて、香典返しの一般的なマナーも確認しておきましょう。
- お礼状は必ず添える: カタログギフトを送る際には、感謝の気持ちを伝えるお礼状を必ず添えましょう。
- 忌明けに送る: 香典返しは忌明け後に送るのが基本です。
- 持参する場合は袱紗に包む: 直接持参する場合は、袱紗に包んで持参しましょう。
- お渡しする際、感謝の言葉を伝える: 直接お渡しする際には、「先日はご丁寧にありがとうございました」など、感謝の言葉を伝えましょう。
- 宗教・宗派に配慮する: 相手の宗教・宗派に合わせた掛け紙や表書きを選びましょう。
まとめ
香典返しにカタログギフトを選ぶことは、決して失礼ではありません。しかし、金額相場やマナーを守り、相手への配慮を忘れずに選ぶことが大切です。この記事を参考に、故人の供養となり、感謝の気持ちがしっかりと伝わる、心温まる香典返しを選んでください。